アスリートレポート

2015年9月 3日

アスリート交差点:「楽しい」が原動力 走る面白さ知ってほしい(高桑早生 毎日新聞掲載コラム第1回)

毎日新聞 2015年6月18日掲載

アスリート交差点:「楽しい」が原動力 走る面白さ知ってほしい=パラリンピック陸上・高桑早生

 来年のリオデジャネイロ・パラリンピック出場を目指して、4月に新社会人になりました。現在は会社の広報課に配属され、競技に集中できる環境も整えてもらいました。大学では4年間、同じリズムで練習をしてきて、環境が変化することになりましたが「仕事は仕事、競技は競技」と切り替えるよう心がけています。仕事を覚えることに必死ですが、新たな刺激も入ってきて世界が広がったように感じます。
 私がこうしてメディアにできるだけ出ようと思うのは、障害者陸上の存在を多くの人に知ってほしいから。特に障害を持つ子供たちには、私の姿を見て「こういう世界があるんだ」と興味を持ってもらいたいです。本格的に競技を始めたのは高校に進学してからですが、「面白そう」と思ったのがきっかけでした。一つのスポーツをずっとやり続けるのは大変なことだけれど、始めることに難しさを感じる必要はない。少しでも「楽しいな」と思えば先に進んでみればいいのです。
 メディアに出る機会が増えることで期待も大きくなるとは思います。それに無理なく応えられるようにしたいです。初出場した2012年ロンドン・パラリンピックを振り返ると、当時の私としては最大限の力を発揮できましたが、ただ一生懸命走っていただけでした。リオに向け、今はどんな練習の時でも「100メートルを走る時にはどうするか」「200メートルの時にはどうか」と、技術的な面を考えるようになりました。
 現在の具体的な目標は、100メートルを13秒5で走ること。これは自己ベスト(日本記録の13秒69)を更新することでもあり、絶対今年中に達成しないといけないラインだと思っています。歩数を多くするピッチ走法と、歩幅を大きくするストライド走法。相反する動きですが、二つのバランスを取ることが最大の課題です。
 「自己ベストを出さなきゃ」というよりも、「出せる」。心の底から良いタイムを残したいと思っているし、自信もあるので重圧には感じていません。13秒5を記録すれば、もう一段階上に行けると信じています。
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 ■人物略歴
 ◇たかくわ・さき
 埼玉県熊谷市出身。小学6年で骨肉腫を発症し、中学1年で左脚膝下を切断した。東京成徳大深谷高で本格的に陸上を始めて、慶大2年で初出場した2012年ロンドン・パラリンピックで陸上女子100メートル、200メートルともに7位。4月からエイベックス所属。23歳。

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