アスリートレポート

2015年10月25日

アスリート交差点:「楽しい」が原動力 舞台は海外、経験値上げ(高桑早生 毎日新聞掲載コラム第3回)

毎日新聞 2015年10月23日掲載

アスリート交差点:「楽しい」が原動力 舞台は海外、経験値上げ=パラリンピック陸上・高桑早生

 22日からドーハで行われている国際パラリンピック委員会(IPC)世界選手権に出場しています。100メートル▽200メートル▽走り幅跳び――が出場種目ですが、自分の記録や世界ランキングが上がるにつれてメダルという目標がはっきりしたものになっている気がしています。
 世界選手権を前に、スタートに関しては以前にも増して意識を向けるようになりました。私自身、短距離の中で一番難しい動きはスタートだと感じていて、こだわって練習していた時期もあります。言葉にするのは難しいのですが、義足の選手は利き足に関係なく、大体義足を後ろにして、健足(義足をつけていない方の足)を前にします。義足が後ろだとセットしやすく、スタートブロックも確実に蹴ることができます。「スタートが遅い」と言われる義足の選手が早く飛び出すことができれば有利――。初めは単純な考えで強化を始め、初出場した2012年ロンドン・パラリンピック前から取り組み始めました。
 結果としてスタートに関しては自信を持ちましたが、今度は「加速」に重点的に取り組むようになると、走り出しの動きがおろそかになってしまいました。効果的に加速するためにも、まずスタートの動きが重要。ブロックを蹴る動きがうまくいっていなかったことに気づき、今夏からもう一度「原点」に立ち返っています。
 グランプリファイナルがあった7月のロンドン、今回のドーハと国際大会が続いています。本格的に海外のレースに出るようになったのは大学生になってからですが、記録の伸びに比例して出場機会も増えています。海外の選手も私の顔を覚えてくれるようになって、会話も少しずつできるようになりました。身ぶり手ぶりを使い、その場の乗りで英語を話す感じではありますが。
 ロンドンのレースでは、ほぼ同年代のオランダ選手が調子が悪そうだと感じて勇気を出して話しかけてみたら、「ケガをした。あなたも気をつけてね」と声をかけられました。部活で同学年の子としていたような会話ができたのはすごく大きなことで、海外の選手の動きが「いつもと違う」と感じることができたのも、経験値が上がった証拠かなと感じています。
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 ■人物略歴
 ◇たかくわ・さき
 埼玉県熊谷市出身。小学6年で骨肉腫を発症し、中学1年で左脚膝下を切断した。初出場した2012年ロンドン・パラリンピックで陸上100メートル、200メートルともに7位。エイベックス所属。23歳。

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